第3章”タ…タワーが建たない!?”

ここまでのタワーメカは、 2009年の最初に作ったプロトタイプ0号機で、とにかくタワーを 建てることに成功しました。 最初に作ったタワーメカのプロトタイプ0号機 その後、2012年にはメダルを「切り取る」仕組みができ、作ったタワーを 崩さずに別の場所へ移動させることができるようになりました。 プロトタイプ1号機ではメダルを「切り取る」が可能に

そして、今後は全国での稼働を目指すため、 量産版に向けての改良に取り組むことになりました。 かなり製品化に近づいてきましたが、 全国のゲームセンターで稼働したとき、ちゃんとメダルが 積めるのか、トラブル対応は迅速にできるか、などなど… チェックする課題が山積みでした。 そもそも、メダルを自動で建てるスピードが、 そんなに速いわけではなく… スピードが遅いと、テンポが悪くなり、最悪ゲームとして 成り立たないという事にもなりかねません。 スピードを上げるために、メダルを装填する機構を変えたり、 いろいろ改良していきましたよね。 そうだね。…で、そんな改良を続けた結果、 タワーが建たなくなりまして(笑) 正直、計画中止か!?といった声も現場で出てましたよ。 再びチラつく解散の2文字……ザワ…ザワ… さらにプロデューサーからのタワーメカへの要求は、”誰が見ても驚く高さ”。 高い目標を掲げるプロデューサーと、実務担当のディレクターの間で 喧々諤々の話し合いと実験が日々行われ、最終的に積み上げるメダルタワーは 30cmで1000枚に落ち着きました。

しかし、この時わずか15cmのメダルタワーしか作ること が出来ない状態でした。 建てている途中で傾いたり、ズレが生じて真っ直ぐ積むこと が出来なかったんです。 いろいろと調べた結果、原因の一つが「モーターの振動」 だったことが分かりましたね。 モーターの振動を抑制するために、 タワーメカを支える柱部分の強度を上げるために厚みを 倍にしたり、素材の変更など、細かい調整を行いました。 それと、メダルの積み上げで一部、前後に動作するソレノイド という機構があるのですが、微量ながらそれも悪さしているこ とが分かりました。 例えば、電車が動き始めはゆっくりで、次第に速くなって 駅について止まるときは減速します。 当たり前のことですが、これによって乗客に伝わる振動を 出来るだけ防いでいますよね。 いきなり動いたり、急ブレーキの時はガタッとなります。 これと同じ事が起こっていたのです。 モーター部分の改良により振動制御に成功 こうしてタワーメカの改良を日々試行錯誤することで、 無事に目標の30cmのメダルタワーが建つことに…

ま…まだ建たないんです。 既にバベルのメダルタワーを遊んでくださった方は、 気づいた方もいるかもしれませんが、 プレイヤーが筐体に入れるメダルは、お店のメダルですが、 筐体内に入っているメダルは、バベル専用のメダルなのです。 これを「内部循環方式」と言います。 弊社の製品ですと北斗の拳 BATTLE MEDALも この方式を使っています。 このメダルこそが高いタワーをきれいに建てる為の、 最大の”キモ”でした。 高くメダルを積む為のポイントは「摩擦抵抗」でした。  お店で使用しているメダルは、当然1000枚も積む事を想定してませんので、 摩擦抵抗が低かったのです。 左)通常のメダル 右)バベルのメダルタワー専用メダル

そこで、専用メダルの周囲の縁を太くしてみたり、 表面の柄を何種類も作って、どういうメダルが良いのかを 延々と試していました。 実際にメダルを積んだものを傾け、どの角度まで耐えられるか 等の実験も行っていました。 後は素材も重要でしたね。ステンレスを使用していますが、 ステンレスの中でも最適なものを使っています。 こだわりの専用メダルが出来上がりました。 まだ見ていない方は、是非お店でチェックしてみてください。 こうして、積み上げるスピード、高さ、機構の見直し、専用メダルの実験… 多くの改良をこなさなければならなくなったバベルのメダルタワー。 さぁ次回こそ、メダルタワーは建つのか!?

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