プロローグ ~走り出しのきっかけ~

メダルゲーム。それは誰でも気軽に楽しめて、いざプレイしてみると、 その面白さに夢中になってしまうゲームセンターで人気のゲームです。 その中でも人気のジャンルの一つが、 メダルを落として遊ぶ”メダルプッシャー機” 近年は、シンプルにメダルを落とすだけでなく、ボール(オーブなどの呼称も)や、 抽選機などの複合要素も加わり、見た目の派手さや、 ゲーム性の奥深さでプレイヤーを楽しませています。 その昔、このメダルプッシャー機で、 一世を風靡した仕掛けがあったのをご存知でしょうか。 それが「メダルタワー」です。 筐体の中で塔のように高く積まれた輝くタワーは、 多くのプレイヤーの心を鷲掴みにし、誰もがタワー崩しに挑みました。 実は、このメダルタワーがよく作られていた時期は、専用器具もなく、 円筒形の筒などをうまく使って、店員さんが手で一段一段メダルを 積んでいたのです。(専用の器具が出来たのは結構最近の話)

さて、場所と時間がかわり、 今から時をさかのぼる事7年前の2009年。 「株式会社セガ プロダクト研究開発部 アメージングチーム」 主業務はアーケードゲームの筐体を設計している部署でしたが、 その中に1チームだけ”オモシロ技術”を研究しているチームがありました。 「〇〇るボール」や「〇〇に〇〇〇を投影する仕組み」等々、 面白そうな新技術を生み出すために、日々研究開発を行っているチームです。 例えば、近年セガでのアーケードゲームと言えば、WCCFや三国志大戦などの 筐体上でカードを認識する技術「フラットリーダー」も このチームが生み出してきました。 ある日、この”オモシロ技術”研究チームで働くスタッフが言いました。 「高いメダルタワーを自動で積む機械とか作れないかな?」 このふとした一言から、「バベルのメダルタワー」完成までの 紆余曲折ストーリーが走り出したのです。

第1章

”面白そう”から始まった バベルのメダルタワーの走りとなった一言。 「高いメダルタワーを自動で積む機械とか作れないかな?」 これを言ったのは2009年ですね。普段いろんな研究 を行っている中で、高いメダルタワーを自動で積み上げ られたら面白そうだな、と。 2010年に、メカ設計者と電気設計者の2名が加わって、 プロトタイプを作り始めてたね。 普通にメダルを重ねて積んでいくと、機械が邪魔になって メダルタワーが建っていく様子がプレイヤーから見えないので、 下から積み上がっていくようなものにしたい! という基本的な形は既にこの頃から決まっていました。 こうして、福岡は下から積み上げる仕組みを提案し、 メカ設計者、電気設計者と共に3人でプロトタイプ製品を作り上げますが、 しばらくの間は、具体的に何かが動き出すようなことは無かったのです。

2011年某日 社内での研究開発をお披露目する、社内展示会が開催されました。 社内から全部で20点ほどの研究結果が展示されました。 ここで注目を浴びると、実際に製品化に向けたプロジェクト として一歩前進することが出来ます。しかし、お披露目会が 2回あってもその中で1点選ばれればいい方だから、 かなりの狭き門!!なんだよね~ 当然この時、私も寝かせたプロトタイプ0号機に「タワーメカ」 と名付けて、出展しました! ここで出た評価は、メダルを積むだけでなく、積んだメダルの高さを維持した 状態で別の場所に移動させる「切り取る」事が出来ないと製品にはならない。 との判断でした。 ここから、約1年タワーメカの研究テーマは「切り取る」事になり、翌年の 2012年の展示会に問題をクリアして、出展を果たします。 しかし… 結局、具体的な製品化には至らなかったんです。 メダルを建てる事をゲーム性にうまく結び付けることが、 この時はまだできなかったんです。 「メダル積み器」というのは、業界ではあくまでサポート器具 という認識が強かったからかもしれませんね。 つまりこの時点では、まだ開発の「か」の字も出ていない状態でした。 どうなるバベルのメダルタワー!?

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